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搔きむしる
飴山瑛
調合士:
搔きむしる
屈折する水面
嵌った蓋の奥に
永遠がある
青ざめた肌
張力は
ぱしゃん、とはじけ
口元をつたう
角がたつ
存在の濃淡が緩んでゆく
銀の匙を戸棚にしまい
マッチは擦られる
遅れる呼吸
痙攣する心臓
冷えた指先は垂れ落ちて
一滴
床に跳ねた
愛のために
君を愛しているから
そこには終末がなければいけない
紫色の絹の両端を
そっと引いて
血管は狭窄する
口付けをしよう
浅い呼吸
意思は血脈を辿り
涙は淡くひかる
空きっ腹をかかえ
じっと見下ろしている
丸い横顔
静寂のうつくしさ
横たえられた存在に
何一つ音はない
失われた重みの
影を踏むように
小さな瓶の中に
結末が揺れている
透明な毒は鼓動を抱いて
どこかへ行った
追うこともなく
詩
処方箋
喉がどうしようもなく乾くように、時々、わたしはあなたを傷つけたくなる。きっとその紫色の毒が、わたしの脊髄を炙るのです。
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クレジット表記
作品名:搔きむしる
作者名:飴山瑛
連絡先(Twitter)等
Twitter:@Ameyama_trpg
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